「雄町」は、酒造好適米の品種のひとつ。酒造好適米とは、日本酒造りに適するように品種改良されたお米のこと。食用米に比べて粒が大きく、吸水性がよく、また粒の中心にある「心白(しんぱく)」と呼ばれる白くて不透明な部分が大きいのも特徴です。心白は醪(もろみ)に溶けやすく、麹菌が入り込んで発酵を促進するため、日本酒造りに向いているのです。
「雄町」は、「山田錦(やまだにしき)」「五百万石(ごひゃくまんごく)」「美山錦(みやまにしき)」とともに4大酒造好適米のひとつに数えられます。これらのなかで、もっとも歴史が古いのが「雄町」で、多くの酒造好適米のルーツと言われています。
たとえば、“酒米の王様”と呼ばれる「山田錦」は、「雄町」の系統である「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」と「山田穂」を掛け合わせて開発されたものです。
「雄町」のなかでも特別な存在が「赤磐雄町」。岡山県赤磐市の軽部産雄町のことを指し、この地に蔵を構える慶応4年創業の老舗、利守(としもり)酒造が商標登録しています。
「雄町」は、近年の日本酒の品質向上に大きな影響を与えた酒造好適米のひとつ。「雄町」で造った日本酒を見かけたときには、ここで紹介したことを思い出してみてください。きっとたのしみが広がると思います。